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HHKB Studio 実機レビュー――質感、操作感、携帯性を検証する

第一印象
HHKB Studio は、サラサラとしたマット塗装と無駄のない 60% レイアウトが織り成す一体感が魅力だ。チャコールカラーの筐体は指紋が目立ちにくく、PBT キーキャップのざらつきが手汗でも滑らない安心感を与える。

電源とバッテリー
電源は内蔵 Li‑ion ではなく単三乾電池 4 本を採用する。メーカー公称の駆動時間は約 3 か月で、USB‑C 接続時は外部給電も可能だ。長期保管時にセルが劣化しにくい点は評価できるが、交換の手間と重量増(約 100 g)には注意が必要である。

ポインティングスティック
中央のスティックは Lenovo ThinkPad 系より背が高く、ホームポジションから滑らせた指先が引っ掛かりやすい。キャップを外すと基板が露出しゴミの混入リスクが高まるため、慣れで解決するのが現実的だ。

ジェスチャーパッド
左右に配置された静電容量式パッドはクリック感がなく、MacBook のトラックパッドに慣れた手には応答遅延を伴うように感じる。ただし二本指スクロールやページ送りが割り当て可能で、操作体系を把握すれば作業効率は確実に上がる。

レイアウト
HHKB の神髄はスイッチではなく “Happy Hacking” の名が示す合理的レイアウトにある。Fn 層と親指 Mod を駆使すればホームポジションを崩さず大半の操作が完結する設計は本機でも健在だ。

スイッチ
従来の静電容量無接点方式(Topre)から 3/5 ピン MX ホットスワップ対応のリニア(45 g)へ刷新された。打鍵音は「トッ」と籠もり、底打ちの反発が少ないため長文入力でも指への負担が少ない。Topre 特有のスコッという跳ね返りを好む層には物足りないが、カスタム性と部品調達の容易さで優位性がある。

打鍵感
ストローク 3.6 mm、作動点 1.8 mm。荷重変化が滑らかで、底付きまで一定の抵抗を維持する。静音フォームが内蔵されていないため打鍵音は環境によってはやや反響するが、オフィス利用でも許容範囲に収まるレベルだ。

携帯性
重量は公称 840 g(電池除く)で、Topre 採用の Pro(540 g)より 300 g 重い。リアルフォース R2(600 g)や GX1(1.3 kg)と比べれば中庸で、リュックに入れての移動なら現実的に携行できる。ただし膝上での使用には厚みと重量が気になる。

総評
HHKB Studio は、既存ファンの賛否を呼んだ「メカニカル + ポインティング + ジェスチャー」という新路線を、質感と完成度で押し切った意欲作である。Topre 至上主義者には受け入れ難い部分もあるが、静音リニアの滑らかさと高いカスタム余地、そして USB/Bluetooth 両対応の利便性を享受できるユーザーには強く推奨できる。指に吸い付く打鍵感とコンパクトレイアウトを両立した本機は、モバイルでもデスクトップでもハッカーをハッピーにする一台だ。